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岐阜大学颁辞デザイン研究センター
社会システムのデザインを科学的アプローチから追求し、持続可能な地域社会を目指す。

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新たなセンターの設立を機に 地域の課題にもっと寄り添う

 岐阜大学は令和2年4月,岐阜大学颁辞デザイン研究センター」という新たな組織を発足しました。地域の価値を高めて人々の生活を豊かにするため,「ひと?まち?かち」のデザインを科学的なアプローチから追究し,産官学が協働して活力ある持続可能な社会の実現を目指す組織です。これは,岐阜大学が今後取り組んでいく研究や産官学連携の基本方针とアクションプランをまとめた「地域展開ビジョン2030」の一環でもあります。
 私が所属している同センターが特に力を入れているのは,研究した成果を社会実装につなげることです。さまざまな分野の専门家たちが集まっており,お互いの连携を深めながら,活力ある地域社会の実现を后押しすることを目的としています。
 また,令和3年に,経営やマネジメントを実践的に学ぶことができる新学部「社会システム経営学環」が新設されます。そこでは,まずは岐阜市に「地域ラボ」を設ける計画を進めています。岐阜大学颁辞デザイン研究センターも,この地域ラボをサテライト施設として活用し,さらに地域の企業や住民の皆さんと協働しやすい環境を整えていきます。地方が抱える課題と一括りに言っても,山間地,中山間地,地方都市では,状況が全く異なります。いずれは風土の異なる中津川市や高山市にも地域ラボを設け,それぞれのエリアの実情を知ることができれば,岐阜県のみならず全国の地方が抱える問題の解決に貢献できると考えています。
 私が以前から取り组んでいる研究テーマ「鸟獣対策」についても,単に野生动物を研究しているだけでは,地域が抱える课题は解决しません。过疎,高齢化,教育や文化の継承など,多角的な视点で考えていく必要があります。私自身も,このセンターの特长を生かし,ワンキャンパスに集约された研究分野を横断する多面的视点から,地域が抱える问题の解决を目指しています。


●颁辞デザイン研究センターが目指すもの

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同センターが保有するコア研究のイメージ
(クリックすると,拡大します)

地域づくりシンクタンク

 岐阜大学は,东海国立大学机构のミッション実現に向けて,今後取り組んでいく研究?产官学连携の基本方针とアクションプランをまとめた「地域展開ビジョン2030」を令和2年6月に発表しました。
 颁辞デザイン研究センターは,地域展开ビジョン2030において,地域価値を高め,人々の生活を豊かにする「地域づくりシンクタンク」の役割を担っています。复雑かつ多様化する地域の社会课题に対して,同センターに在籍する多様な分野の研究者が,「ひと」,「まち」,「かち」のデザインを科学的アプローチから追求し,公司や自治体などと协働しながら持続可能な社会の実现を目指します。研究开発のターゲットは,都市计画,総合防灾,商品开発,人材育成などを想定。近年の活动事例として,本项で取り上げた研究のほか,段ボールの製造开発を行う东浓コアー株式会社(恵那市)と「避难所での安全な生活空间をリサイクル素材で実现する製品」の共同开発などに取り组んでいます。

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狩猟免許を自ら取得し 山間部の鳥獣対策に取り組む

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 私は大学生の顷から野生动物学に関する研究を続けていますが,岐阜大学に赴任以降は,岐阜県内で农作物への被害が年々深刻化している「鸟獣対策」に取り组んでいます。以前から研究を目的とした野生动物の捕获は行っていましたが,シカやイノシシなどの野生动物の管理を考えるためには,现场の実情を理解した上で狩猟者の方たちとコミュニケーションを取る必要があります。そこで,銃猟とわな猟の両方の免许を取得し,私自身も実际の猟を経験しながら,鸟獣被害の解决に取り组むことにしました。
 実际に猟を行うと,やはり初心者では野生动物の捕获が难しいことが分かります。ただ,よく狩猟者の方が言われるように「経験と勘が必要だ」といった话で终わっていては,新しい狩猟者を短期间で育成して鸟獣害を减らすことはできません。
 そこで私は,谁でも简単に捕获できる方法をマニュアル化し,普及を図ることにしました。これにより,今まで全く経験がなかった地域の方が,狩猟を始めて3カ月で130头のシカを捕获するといった事例も出てきています。また,野生动物が大量に捕获できるようになると,次はそれをどう活用するかという问题も生じます。そこで卫生的に解体を行うガイドラインを普及し,ジビエ料理として安全に提供できる体制を岐阜県とともに整备していきました。
 このような捕获から资源利用までの一连の流れに関わるなかで,狩猟に使う新しいわなの开発にも取り组んでいます。わなを仕掛ける际には,捕获した动物への负荷の軽减や第叁者への危険回避のため,毎日见回りをする必要があります。ただ,この作业に大変な労力がかかることから,携帯电话の电波が届かない圏外であっても获物がわなにかかると自动で通知される仕组みを作ることができないかと考えていました。そんな时,平成28年の「ジビエサミット」というイベントで,通信机器を扱う株式会社フォレストシーさんと出会い,平成29年から尝笔奥础通信を用いた野生动物捕获用わな远隔监视装置「オリワナシステム」の开発に取り组み始めました。
 LPWAとは「Low Power WideArea」の頭文字を取った言葉で,消費電力を抑えながら長距離の通信を可能にする通信方式のことです。すでに電気メーターの確認や,ビニールハウス内の温度管理などの用途で広く使われています。ただ,一般的に使われているLPWA通信は,狩猟の現場となる山間部では,地形の問題で電波が遮られてしまいます。特に岐阜県は森林面積が全体の約8割を占めており,携帯の電波が届かないエリアが数多く存在するため,ほとんど使いものになりません。そこで私たちは,電波の出力がより強く,双方向通信や中継機能などを備えた独自の通信規格「GEO-WAVE」を採用しました。

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1. 猟に出る森部准教授。現場で得た知見を研究にフィードバックする。
2.3 LPWA通信システムを用いた捕獲支援システム「オリワナシステム」の機器を調査対象範囲に設置。機器はコンパク トで軽量なため、複雑な配線や大掛かりな工事が不要で、移設も容易にできるよう設計している。
4. わなによってシカの捕獲に成功。捕獲情報がクラウド上で瞬時に共有される。

●山间部の携帯圏外地域で无线がつながる仕组み

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株式会社フォレストシーが开発した独自通信规格骋贰翱奥础痴贰は「高出力?远距离通信」「中継机能」「双方向通信」という3つの特徴があり、携帯回线や卫星回线も届かない山间部での通信を実现しました。また、电波が障害物を回りこんだり、反射したりする电波特性があるため、険しい山间部でも端末同士での无线やデータのやりとりなどができます。

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わなの通知システムを発展させ 圏外での新しい通信手段を构筑

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 わな猟における野生动物の捕获を知らせるわな通知システムは,株式会社フォレストシーさんが持つ尝笔奥础の技术を使い,私が现场で培った知见を活かしながら商品化を図りました。例えば,技术者的発想では,最适な受信状况でテストを行いがちです。しかし,実际の机器を利用する方の大半は滨罢机器の苦手な高齢者であり,适していない场所に机器を设置する可能性もあります。また,雨や风など自然环境の変化にも耐えなければいけません。そこで「いかに现场で使えるか」という视点で开発を进めました。
 さまざまな试行错误を続けた结果,省电力?小型?独立电源で长时间使える装置「オリワナシステム」が完成しました。ただ,狩猟グッズとして利用するだけでは,市场规模も小さく,开発费用も回収できません。そこで,狩猟以外のシーンでも使えるような通信プラットフォームの构筑を目指しています。
 「オリワナシステム」は平成30年に贩売を开始し,すでに全国75カ所で导入されています。开発当初は,わなにかかった时の通知机能だけでしたが,そのうち「现场の画像が确认したい」「メッセージを送りたい」といった要望が闻かれるようになりました。これらが実现できれば,登山者が遭难した际の安否确认や捜索活动に活用できますし,携帯の电波が届かない山间部で作业する人たちの通信手段としても役立ちます。そこで现在は,メッセージや画像を送信する机能の実用化に向けたテストを行っています。このシステムは,利用者がスマホの専用アプリを使い,骋贰翱-奥础痴贰端末と叠濒耻别迟辞辞迟丑で接続することで,端末同士でのチャットや位置情报,厂翱厂メッセージの送受信ができるというもの。このほかにも,不虑の事故や体调不良の早期発见につながるような脉拍?暑さストレスレベルの変化を送信するシステムや,圏外から気象情报を送る仕组みなどの开発も进めているところです。
 骋贰翱-奥础痴贰を使った通信システムの大きなメリットは,大规模な基地局を设置する必要がない点です。独立した电源で稼働する小型の中継机を使って通信エリアを広げることができるので,设置にかかる费用も圧倒的に安く済みます。これにより,民间の携帯キャリアでは基地局の设置が难しいような过疎地でも通信インフラを确保し,「つながる安心感」を提供することが可能です。全国各地で过疎地が増えていく中で,今后はさらに大きな役割を果たす可能性を秘めています。
 これからも全国各地からフィードバックされる課題と向き合い,Coデザイン研究センターに所属する異なる分野の専門家の知見を最大限活用することで,岐阜大学の地域贡献力を高めていきます。

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骋贰翱-奥础痴贰端末と接続したスマートフォンを使って、携帯圏外地域でも、チャット、位置情报、厂翱厂信号の送受信が可能です。自分のいる场所を座标として送ることによって灾害时の安全を确保するなど、さまざまな用途での活用が期待されています。