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研究?採択情报

バイオマーカーを见分けて溶けるゲル状物质を开発  ~诊断材料や薬物放出材料として期待~

本研究成果は,2014年5月4日(英国時間)に英国科学雑誌「Nature Chemistry」のオンライン速報版で公開されました。

研究のポイント

  • バイオマーカーである复雑な生体分子に応答して溶けるヒドロゲルの开発に成功
  • 水とゲル化剤と酵素を混ぜるだけで简単に作製できる
  • 简便で手軽な诊断材料や抗体を症状に応じて投与できる薬物放出材料として期待
 JST 課題達成型基礎研究の一環として,京都大学 大学院工学研究科の浜地 格 教授らは,疾病の指標(バイオマーカー)となる複雑な生体分子を識別して溶けるゲル状物質(ヒドロゲル)の開発に成功しました。
 ヒドロゲル(寒天のように水を固める物质)は生体适合性が高く,さまざまな医疗?诊断応用が期待され,その高机能化が进められています。しかし,ヒドロゲルが识别できるバイオマーカーはその分子构造が単纯なものに限られていました。また,标的とするマーカーごとに応答する新しいゲル化剤(ゲルを形成する化合物)を开発する必要もありました。
 本研究グループは,新たなゲル化剤を开発し,ヒドロゲルが特定の化学反応によって溶けるように设计しました。さらに,ゲルの中にその化学反応に必要な酵素を活性を保ったまま埋め込みました。このゲルはたった1种类のゲル化剤から作製できますが,埋め込む酵素を选ぶだけで标的とするバイオマーカー分子も変えることができます。その结果,多様な生体分子(糖尿病や前立腺がん,痛风のバイオマーカー)を识别して溶けるゲルを作製することに成功しました。また,异なる化学反応性を示す2种类のゲル化剤と数种类の酵素を混ぜることによって,复数のバイオマーカーが同时に存在してもしっかり见分けられるヒドロゲルも开発しました。今后,新しいスマートマテリアルとして,诊断材料や薬物放出材料の开発などの医疗応用に幅広い贡献が期待できます。
 本研究は,岐阜大学 工学部 化学?生命工学科の池田 将 准教授(前 京都大学 大学院工学研究科 助教)らと共同で行ったものです。

本成果は,以下の事业?研究领域?研究课题によって得られました。
戦略的創造研究推进事業 チーム型研究(CREST)
  研究领域:「プロセスインテグレーションに向けた高机能ナノ构造体の创出」
      (研究総括:入江 正浩 立教大学 理学部 教授)
  研究课题名:「动的応答特性を有するナノ构造体の构筑と精密バイオ机能化」
  研究代表者:浜地 格(京都大学 大学院工学研究科 教授)
  研究期間:平成20年10月~平成26年3月 JSTはこの領域で,自己組織化に代表される従来の
ボトムアッププロセスに,分子レベルでの精緻な机能を利用して自己构造化や自己修復などの新たな手法を取り込んで一段の高度化を図ることによって新规高机能ナノ构造体の创出を目指しています。

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研究の背景と経纬

 水を媒体とするヒドロゲルは,その生体适合性の高さから,诊断材料,薬物放出担体,细胞培养基材など,さまざまな医疗応用が期待される魅力的な材料です。このようなヒドロゲルが特定の分子の存在やその量を识别して溶けたり,再度固まったりできれば,高度な机能を持つ新しい医疗材料の开発につながると期待されます。しかし,これまでに开発されたヒドロゲルが识别できる分子は,构造が単纯なものに限定されていました。また,识别の対象となる标的分子ごとに新たなゲル化剤の设计と开発が求められ,その都度多大な労力を必要としていました。さらに复数の标的分子が同时に存在するかどうかを见分けるヒドロゲルの开発に関しては,その设计指针さえありませんでした。

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研究の内容

 本研究グループは,小分子化合物が自律的に构造を作り出す「自己组织化注1)」という现象によってナノサイズ(ナノは10亿分の1)の构造体を开発し,その机能化に取り组んできました。とくに,水中でナノサイズの极细繊维(ナノファイバー)となり,そのナノファイバーが络み合うことでヒドロゲル(超分子ヒドロゲル)を形成する小分子化合物(ゲル化剤)の高机能化を进め,非常に低浓度でゲル化する化合物の开発に成功してきました(図1)。
 今回,それらの知见を基に,酸化反応あるいは还元反応によって溶けるという特徴をもった反応性超分子ヒドロゲルをそれぞれ开発しました(図1a)。

(1) 酸化反応応答型ヒドロゲル

 酸化反応によって溶けるヒドロゲルを形成するゲル化剤(BPmoc-F3)は,活性酸素种(ROS)の中で过酸化水素を选択的に见分けて溶けることを明らかにしました(図2a)。过酸化水素は,各种オキシダーゼ(酸化酵素)がその基质を酸化する时に生成することが知られています。そこで,BPmoc-F3が形成するヒドロゲルにいろいろなオキシダーゼを埋め込んだところ,内包したオキシダーゼの基质をヒドロゲルに添加した时にのみゲルが溶けることを见いだしました(図2c)。例えば,グルコースオキシダーゼ(GOx)を内包させたヒドロゲルは,グルコース(ブドウ糖)のみに応答して溶け(図2cの1列目),サルコシンオキシダーゼ(SOx)を内包させたヒドロゲルは,サルコシンのみに応答して溶ける(図2cの2列目)ことを実証しました。この结果は,ヒドロゲルの中でオキシダーゼが十分にその活性を保持し,基质を酸化する际生成した过酸化水素がヒドロゲルを溶かしているということを意味しています(図2d)。つまり,1种类のゲル化剤が形成するヒドロゲルに酵素を选んで混合するだけで,さまざまな生体分子(グルコース(糖尿病のバイオマーカー),サルコシン(前立腺癌のバイオマーカー),尿酸(痛风のバイオマーカー),コリンなど)に応答して溶けるヒドロゲルが作製できることになります。このように多様な生体分子を见分けることのできるヒドロゲルはほかに类をみません。さらに,ヒト血浆を用いた実験では,高血糖症に対応する浓度のグルコースが存在する时だけ溶けるヒドロゲルも作製可能であることを実証しており(図2b),今后,诊断材料の开発などの医疗応用に幅広い贡献が期待できます。

(2) 還元反応応答型ヒドロゲル

 还元反応によって溶けるヒドロゲルを形成するゲル化剤(NPmoc-F2)は,ニトロ还元酵素(NR)注2)と呼ばれる酵素を内包させておくことで,还元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)の存在を选択的に见分けることを明らかにしました(図3a)。NADHは,NAD依存性酵素が基质を酸化する际に酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)から再生されることが知られています。そこで,NAD依存性酵素の1つである乳酸脱水素酵素(LDH)とNAD+とNRを,NPmoc-F2が形成するヒドロゲルに同时に内包させたところ,乳酸を添加した时にヒドロゲルが溶けることを见いだしました(図3b)。この结果は,ゲルの中で乳酸がLDHによって酸化され,その际NAD+から再生されたNADHがゲル化剤と反応し,ヒドロゲルを溶かしていることを示しています(図3c)。ちなみに乳酸はがん组织周辺で浓度が上昇することが知られています。

(3) 酸化反応応答型ヒドロゲルと還元反応応答型ヒドロゲルの複合化

 さらに,上记の2种类のゲル化剤および数种类の酵素を混合したヒドロゲルは,それぞれが识别する生体分子が同时に存在する时のみに溶けることも実証しました。すなわち,グルコースのみ,あるいは,NADHのみでは溶けず,グルコースとNADHが両方存在する时においてのみ溶ける自律応答型のヒドロゲルの开発に成功しました(図4)。また,そのヒドロゲルに蛍光色素を修饰した抗体(滨驳骋)を闭じ込めておくと,グルコースとNADHが両方存在する时においてのみ抗体を放出することも明らかにしました(図4c)。

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今后の展开

 今回开発したヒドロゲルは,水とゲル化剤と酵素を混ぜるだけで简単に作製できます。さらに抗体のようなバイオ医薬品をそのヒドロゲルのなかに闭じ込めておき,バイオマーカーの存在を识别し放出させることも可能です。
 このように,化学反応の特异性を组み込んだ小分子化合物からボトムアッププロセス注3)で作成したナノファイバーからなるヒドロゲルと酵素反応を组み合わせる手法は広く一般化することが可能であり,诊断材料,薬物放出材料,再生医疗用细胞培养基材など,さまざまな医疗材料に「これまでにない自律的に考えて応答するという新たな机能」を付与できると期待されます。

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参考図

図1 ゲル化剤の分子构造と自己组织化および化学反応の模式図
(クリックすると拡大します)

a:酸化反応に応答するゲル化剤(BPmoc-F3)と还元反応に応答するゲル化剤
  (NPmoc-F2)の分子构造

b:BPmoc-F3の自己组织化および过酸化水素に応答した酸化反応の模式図

c:BPmoc-F3が形成するナノファイバーの顕微镜写真
  (左:透过型电子顕微镜(TEM)写真,右:共焦点レーザ走査型顕微镜(CLSM)写真)


図2 酸化反応応答型ヒドロゲル(BPmoc-F3)
(クリックすると拡大します)

a:バイアル瓶中に作成した过酸化水素に选択的に応答するヒドロゲルの写真 (ヒドロゲルはバイアル瓶を逆さにしても流れ落ちないが,过酸化水素を添加后のサンプル(H2O2とラベル:左から2番目)は溶けて(ゾル化し)流れている)。

b:スライドガラス上にスポットしたヒドロゲル(直径约4mm)にグルコースオキシダーゼ(GOx)を内包させ,异なる浓度のグルコースを含むヒト血浆を添加し,水で洗った后のスライドガラスを上から撮影した写真(ヒドロゲルは水で洗ってもスポットとして残っているが,高浓度のグルコースを含むヒト血浆を添加したヒドロゲルは溶けてゾルとなり,洗い流され残っていない)。

c:スライドガラス上にスポットしたヒドロゲル(直径约4mm)にオキシダーゼを内包させ,标的分子を添加し,水で洗った后のスライドガラスを上から撮影した写真(ヒドロゲルは水で洗ってもスポットとして残っているが,溶けたゾルは洗い流され残っていない)。GOx:グルコースオキシダーゼ,SOx:サルコシンオキシダーゼ,COx:コリンオキシダーゼ,UOx:尿酸オキシダーゼ。

d:オキシダーゼを内包したヒドロゲルがそれぞれのオキシダーゼの基质を添加した时に応答することを模式的に示したスキーム。


図3 还元反応応答型ヒドロゲル(NPmoc-F2)
(クリックすると拡大します)

a:バイアル瓶中に作成したNADHに选択的に応答するヒドロゲルの写真(ヒドロゲルはバイアル瓶を逆さにしても流れ落ちないが,NADHを添加后のサンプル(NADHとラベル:右)は溶けて(ゾル化し)流れている)。

b:スライドガラス上にスポットしたヒドロゲル(直径约4mm)に酵素およびNAD+を内包させ,标的分子を添加し,水で洗った后のスライドガラスを上から撮影した写真(ヒドロゲルは水で洗ってもスポットとして残っているが,溶けたゾルは洗い流され残っていない。右から2番目と3番目のスポットを比较すると乳酸を添加することでヒドロゲルが溶けていることが分かる)。LDH:乳酸脱水素酵素,NR:ニトロ还元酵素。

c:LDHとNRとNAD+を内包したヒドロゲルが乳酸あるいはNADHを添加した时に応答することを模式的に示したスキーム。


図4 酸化反応応答型ヒドロゲル(BPmoc-F3)
(クリックすると拡大します)

a:スライドガラス上にスポットした复合化ヒドロゲル(直径约4mm)に,标的分子を添加し,水で洗った后のスライドガラスを上から撮影した写真(ヒドロゲルは水で洗ってもスポットとして残っているが,溶けたゾルは洗い流され残っていない。グルコースとNADHを両方添加したスポット(右下)のみヒドロゲルが溶けていることが分かる。NADHとグルコースをインプット情报としてAND型の论理演算を実行してゲルが溶けていることを意味する结果である)。

b:复合化したヒドロゲルがグルコースおよびNADH両方を添加した时のみ応答することを模式的に示したスキーム。

c:ヒドロゲルに蛍光色素を修饰した抗体を闭じ込めておき,その上にバッファーを加え,さらに,グルコースのみ(0,1),NADHのみ(1,0),グルコースとNADHの両方(1,1),あるいはいずれも含まない(0,0)水溶液を添加し,8时间后に撮影した写真(蛍光を可视化)。ヒドロゲルからバッファー中に放出された抗体の割合(%)の时间変化を蛍光强度から求めたプロット。

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用语解説

  • 注1)自己组织化
    :分子などが非共有结合性相互作用などによって,自分自身で高次の大きな组织や构造を作り出す性质
  • 注2)ニトロ还元酵素(NR)
    :FMN(フラビンモノヌクレオチド)を补因子とし,ニトロ基を还元する酵素。活性化にNADHを必要とする
  • 注3)ボトムアッププロセス
    :分子や原子といった小さな材料を部品として,その组み合わせから最终的に大きな材料やシステムを作り上げる方法。大きな材料を削る?切るなどして微细に加工し,半导体などの小さな材料を作成するトップダウンアプローチとは反対の方法

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论文タイトル

Installing Logic-Gate Response to a Variety of Biological Substances in Supramolecular Hydrogel-Enzyme Hybrids
(超分子ヒドロゲル-酵素ハイブリッドへのさまざまな生体物质に対する论理演算応答の导入)